テレビコメンテーター 京極純一

学識ある知人から、NHK「週刊ヤング情報」という番組の存在を知らされたのが23日のことだ。いや、日をまたいで酔いどれて話をしていたから、24日なのかもしれない。まあ、どうでもいい。知人の紹介する内容にひかれて川口のNHKアーカイブまで足を運び、ただ1回分が公開されているその番組をみた。

Wikipediaによると、「週刊ヤング情報」は1991年4月から翌年3月まで、NHK総合で土曜日23時半から翌日0時15分の時間に放送、若者を対象に時事問題を解説するというテイストの番組だったらしい。

司会は桂三枝(現・桂文枝)、これはなるほどと思う。アシスタント役とみられるのは羽野晶紀(羽野の出演は91年10月からで、私がみた回は別の女性出演者だった)、コメンテーターとして陣取るのが秋元康。さらにもうひとりのコメンテーターがいた。秋元の向かって左隣、4人の端にたたずんでいたのは、誰あろう京極純一だった。

秋元康京極純一の並び、桂三枝と言葉をかわす京極純一という画は異質だ。しかし、より目立つのが京極のコメントそのものだ。くだらぬ論評をまじえず、一部の発言をそのまま紹介したい。

なお、この回の放送日は不明。内容から91年4月の放送とは推測できる。

ゴルバチョフ訪日、首脳会談について】
三枝「しかし京極先生、まあゴルバチョフさんが残してくれたものは一体なんだったんでしょうかね」
京極「やっぱり指切りげんまん(※)をしてですね、さいならさいならまたね、という。その『またね』というところに味があるんじゃないでしょうか」
三枝「はぁー。結局進んだんでしょうか。進んでないんでしょうかね」
京極「まあこれから、あのー、ほどき方、ほどけ方しだいだと思いますねぇ」
三枝「さすがしたたかな政治家というイメージを我々」
京極「ゴルバチョフ大統領もしたたかでしょうが、こちら側も立派だったんじゃないでしょうかねぇ」
三枝「評価していいですかね」
京極「はい(笑顔で)やっぱり指切りげんまんさいならさいならと思いますけど」
三枝「そうでございますね」
(※91年4月18日、当時の海部俊樹総理とゴルバチョフ大統領は日ソ共同声明にあたり、指切りげんまんをするパフォーマンスをみせた)

自民党幹事長について】
三枝「これはエリート、首相への道と」
京極「大体は他党との交渉という意味では外務大臣でしょうし、党内の運用という意味なら大蔵大臣もみな兼ねてるわけですね。ですからまあ、会社の社長(※)というのはそのとおりだと思いますですよ。ぜひなりたい」
三枝「問われる能力といえば集金能力と」
京極「まあ集金もですが、やはり人心収攬能力ってのが大きいでしょうね」
(略)
三枝「小渕幹事長はいかがでございますか」
京極「立派だと思いますよ」
三枝「大丈夫なんですかね」
京極「それは(笑い)私が太鼓判を押す問題ではないと思いますけど」
(※直前のVTRでは自民党総裁の職責を「会社の会長」、自民党幹事長は「会社の社長」になぞらえて説明していた)

アルバニア情勢について】
三枝「先生、ここが貧富の差がほとんどないと」
京極「皆さんが貧乏だという意味で貧富の差がほとんどないと。日本なんかは皆さん金持ちで割に貧富の差がないと。まあ差がないだけですといろいろありますね。やはり豊かな差のない国、平等な国と、貧乏で平等の国と」
三枝「このたび大統領を決めて、やっていけるんですかね、この先」
京極「まあ皆さんががんばらなきゃだめだと思いますですねぇ」

【日本の外国人について】
三枝「これだけ外国人増えたら、われわれは外国人にどう接したらいいんでしょうか」
京極「普通に接していればいいんじゃないでしょうか。まあ普通にっていうか、肩肘張らないで、肩から力を抜いて」

桂三枝は司会をやりづらそうであった。